2025/07/05
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壮大なプロジェクトに迫る!霞ヶ浦導水事業 現場見学会
2025年6月25日(水)、(一社)茨城県環境保全協会様のご厚意で、私たちは「霞ヶ浦導水工事」の現場見学会に参加しました。千葉県からは部会長をはじめ3名の会員が参加し、普段見ることのできない巨大なインフラの心臓部に触れる貴重な体験となりました。
この「霞ヶ浦導水事業」は、那珂川、霞ヶ浦、利根川という3つの水系を、地下深くの巨大トンネルで結び、水を相互に融通する、まさに未来を見据えた壮大なプロジェクトです 。その目的は多岐にわたり、私たちの暮らしと自然環境に大きく貢献します。
主な目的は3つあります。 第一に、
霞ヶ浦の水質浄化です。かつて湖水浴もできた霞ヶ浦 。その美しい水を取り戻すため、水質の良い那珂川と利根川の水を導入し、湖水の入れ替わりを促進します。これにより、水の循環が活発になり、昭和40年代レベルのクリアな水質を目指しています 。
第二に、
河川の渇水被害を軽減し、流量を安定化させることです 。水量が豊富になる時期が異なる那珂川と利根川の特性を活かし、水を融通し合います。例えば、春先に水が少なくなる那珂川へは利根川から、夏から秋にかけて水量が減る利根川へは那珂川から水を送るなど、賢い水のやりくりで、双方の渇水被害を劇的に減らす試算が出ています(利根川約6割減、那珂川約9割減) 。
第三に、
新たな水資源を創出し、首都圏へ供給することです 。安定供給される水は、茨城県内の農業や工業だけでなく、北千葉導水路を通じて江戸川へ送られ、東京都や千葉県の貴重な水道水としても利用されます 。まさに、関東圏の“水がめ”としての役割も担うのです。
見学会では、那珂川から水を取り込む「那珂機場(なかきじょう)」の巨大ポンプ群や、水に含まれる土砂を沈殿させる「沈砂池(ちんさち)」を見学しました。沈砂池は特撮ヒーロー番組のロケ地にもなるほど、独特の迫力がありました 。さらに、トンネル工事の拠点となる、深さ43メートルもの巨大な縦穴「上飯沼立坑(かみいいぬまたてこう)」にも足を踏み入れました 。地下トンネルはシールド工法で掘り進められており、直径3.5メートル、完成区間は5km先まで光が見えるほど真っ直ぐに繋がっているとのことでした 。
今回の見学会は、私たちが普段意識しない地下で進む壮大なプロジェクトが、いかに高度な技術と、自然への深い配慮のもとに成り立っているかを実感する、非常に貴重な学びの機会となりました。




